Fenrir INSIGHT

道を照らす灯台となる
プロジェクトリーダーが導く未来

2019.8.29

自社開発、共同開発の2軸によって、ユーザーにハピネスを届けるフェンリル。
お客様と共にサービスをつくりあげる共同開発では、デザインから開発、テスト、運用までを一貫して提供している。

そうした現場において、共同開発案件を取りまとめる“プロジェクトリーダー”の存在は、クライアントとの信頼関係構築はもちろん、デザイナー、エンジニアをはじめとする社内のチームメンバーが、最善の答えに向かえるように導く重要なポジションだ。

デザインと技術にこだわり、ユーザーをハピネスにするというフェンリルの使命に最前線で向き合うプロジェクトリーダーは、自身の役割をどのように感じているのか。
前後編の二回に渡り、プロジェクトリーダーたちの素顔に迫る。

第一回に迎えるのは、iOS、Androidのアプリ開発を行うアプリケーション共同開発部より、プロジェクトリーダーを経て現在はマネジメントに携わる安藤、フェンリルへの入社を機にエンジニアからプロジェクトリーダーへと歩み出した石原。

彼らが日々対峙している課題や葛藤、理念などを通し、フェンリルのプロジェクトリーダーとしてのあるべき姿を紐解いていく。

自分と向き合うことで見えた将来のビジョン

お二人ともエンジニアとしてキャリアをスタートされたんですよね

安藤:大学卒業後にプログラミングの学校に半年ほど通って勉強してから、エンジニアとしてメーカーに就職しました。レコーダーの録画機能を実装していたんですけど、当時は分からないことだらけで、毎日終電まで休みなく働いた数ヶ月がつらかった記憶がありますね。主にハード系のエンジニアをしていましたが、最後の1年くらいでAndroid端末が出てきて、アプリの領域をやりはじめたという感じです。

石原:私は、新卒で入社した会社で組み込み系のエンジニアとしてお客様のオフィスに常駐してプログラミング作業をしていました。小売店舗に設置されている機器のメニューをつくるWindowsアプリなど、どちらかというと私もハード系の開発が中心でした。

いつ頃からプロジェクトリーダーになることを意識されていたんでしょうか

安藤:3年ほどエンジニアとして働いていましたが、プロジェクトリーダー(以下、“PL”)の領域も担当するようになった頃から、プロジェクトをまとめる方が自分には向いているのではと感じるようになって、だんだんとそちらにシフトしていきました。

石原:私の場合、前職の会社にはデザイナーが在籍していなかったので、エンジニアという立場でありながら企画などを自分で提案したり色々と挑戦させてもらっていたんです。そういう経験もあって、転職のタイミングでPLにもチャレンジしたいと思うようになりました。

安藤:あとは、ある案件ですごく有能なエンジニアと一緒に仕事をする機会があって、エンジニアとしての自分の将来と向き合ったことが大きいですね。エンジニアを続けて高みを目指すことも考えましたが、自分がより活躍できるのはPLなんじゃないかなと。

石原:それはすごく分かります。プログラミングは好きでしたが、日々技術が進歩していくなかで何十年も先までエンジニアを続けていくことには悩みもありました。そうした中で、技術的なことだけではなく、企画であったりデザインであったり、色んな知識を深められるPLとしての道に進むことを考えはじめたんです。

様々な選択肢があるなかで、なぜフェンリルへ転職を?

安藤:転職活動をはじめたときにエージェント経由でフェンリルを知ったんですけど、調べてみるとSleipnirを開発した会社ということが分かって、早い段階からアプリ開発に参画しているというのも決め手になりました。転職当時はまだ、アプリのPLを経験したことがある人はほとんどいなかったので、自分の経験を活かせる場所という意味でも、私には向いている会社だと感じていましたね。

石原:エンジニアをしていたのでもちろん技術には関心はあったんですけど、フェンリルはデザインにこだわっているというところが魅力でした。大学ではデザインについても学んでいて、社会人になってからも独学で勉強していたので、デザインと技術どちらにも関心がある私にはぴったりだと思いました。

安藤:石原さんはエンジニアでありながらデザインのことも考えて仕事をしてきたという印象で、フェンリルへの関心が高いのかなというのも採用面接の段階で感じていました。デザインと技術両方に関わりたいという人のほうがフェンリルに向いているというのもあったので。

石原:選考のときに「将来的にはPLになりたい」ということはお伝えしていたんですけど、 未経験ということもあって、内定をいただいた際はエンジニアとして開発を担当するんだろうなと思っていました。でも入社してみると最初からサブのPLとして働かせていただくことになって。慣れない業務で戸惑うこともありましたけど、経験がないうちから色々とやらせてもらえたのはありがたかったですね。

安藤:石原さんに関しては、最初からサブPLとして育てていこうという話をしていたんですよ。エンジニアとしては経験していた分野が違うのでフェンリルでは難しいという判断になったけど、リーダーの経験があるので社会性もありましたし、なによりデザインをちゃんと考えられるというのが大きかったです。

石原:そうだったんですか!面接のときに企画書を持参していったり、PLに挑戦したいという意思表示をしたのもよかったのかもしれませんね。エンジニアとしての経験よりもPLとしての可能性を見ていただいていたのはうれしいです。

信頼される存在であるために

PLとして最初にぶつかった壁など印象に残っていることはありますか?

石原:壁というほどでもないですが、これまでのように自分でコードを書いたり手を動かすわけではないので、ものづくりをするというやりがいが薄れてしまうのではないかと不安でした。でも実際は、チームで協力し合ってひとつのアプリをつくり上げているという実感があるので、ものづくりへのやりがいは昔と変わっていないです。

安藤:社内のスタッフとの関係性ですかね。入社当時はメンバーも今ほど多くなかったので、それぞれが忙しくて大変な案件に関しては一歩引いて見ているという雰囲気もあったんです。そんな中で、どういう風にみんなを巻き込んでいくかというのは考えましたね。あまり良い顔はされなくてもとにかく「協力してほしい」と直接お願いしてまわるうちに、だんだんと協力しあう風土になってきたと思います。

PLには多様なスキルが求められるので苦労されたことも多いのでは

安藤:人と接することが多いので、コミュニケーションの面で苦労することはありましたね。これは自分自身の性格もあるんですが、何事もはっきりと言うタイプなのでどうしても話し方がきついと感じられることがあったり、テンションが高くなると怒っていると捉えられることも多くて、気をつけてはいるんですけどなかなか難しいです。

石原:安藤さんには入社当時からシビアなアドバイスもいただきましたけど、僕は怖いという印象は持っていないですよ。問題があって色々と指摘されてもすぐにフォローをしてくれますし、理不尽に怒られるというのがないので納得感があります。

安藤:いいこと言ってくれるね…。
プロジェクトのメンバーにはいろんな人がいるから、どうやって信頼関係を築いていくかというのはPLにとって重要なスキルのひとつではありますね。

石原:そうですね。あと、チームのメンバーが、より良いものをつくるために色んなことを提案してくれるなかで、プロジェクトの特性などによってどうしても諦めてもらわなければならないときもあるじゃないですか。そういうときに、納得してもらって進められるようにするのもPLの大事な役割だと思います。

プロジェクトを進めるうえで、とくに意識していることはありますか?

石原:先ほどの話とも繋がりますけど、丁寧に理由を説明して納得してもらうように心がけています。下からお願いをするというと語弊がありますが、相手の意見を尊重しているということを分かってもらえると、気持ちよく納得してもらえるというのもあると思うので。

安藤:プロジェクトでは大なり小なり問題は発生してしまいますけど、その問題が爆発してしまう前にPLが察知して対処できるかどうかで、その後の進捗やチームのモチベーションに大きく影響するんです。だから、トラブルがなく順調に進んでいるときほど、何かあったときのために備えたり、自分を疑って検討を重ねるということを意識していますね。もし十分検討したうえで「何もしない」という結論が出たとしても、それはしっかりと対策を打ったと言えます。

石原:安藤さんは、見えないところですごく準備をされている印象がありますね。とくにリスク管理については見習いたいと思うことがたくさんあります。

安藤:自分にない部分を良いところだと捉えてしまいがちだけど、私からすると石原さんはあらゆる面でクッションになれる人で、力強く間に入ってしまう自分とは違う良さを感じていますよ。

信頼関係を築くためにどんなことを大切にしているのでしょうか

石原:お客様にしても社内のメンバーにしても、最初に話をしっかり聞くということを意識していて、最初から否定せずに、まずは相手の気持ちを理解することを心がけています。

安藤:とにかく私たちは、デザインと技術にこだわり最良の結果を出すにはどうするべきかを常に考えているので、そのためにはお客様の要望であっても、専門家として「NO」と言うこともあります。共同開発という立場でやらせていただいていますし、こちらの見解もしっかりとお伝えすることが大切だと思っています。

石原:最終的にお客様の要望に沿った対応をすることになったとしても、フェンリルとしての考えやあるべき姿を理解していただくためには意識しておきたいことですよね。ただ単に「こちらがやりたくないからしない」ということではなく、最善の結果に導くためということを納得いただきながら進めていきたいです。

力のあるチームをつくる

社内メンバーとの関わりについてお聞きしたいのですが

安藤:デザイナーもエンジニアもそうですけど、分からないことがあると社内の誰かに聞けば分かるという安心感はありますね。新しい情報にも敏感ですし、何よりみんな学ぶことが好きなんだと思います。

石原:社内に頼れるデザイナーがいるのは、設計をするときにすごく楽というか、クオリティの高いものができる実感はあります。UIに伴ってAPIをこうしようとか、設計の段階で考えられるのは本当にフェンリルの強みだと思います。 他の会社と一緒にやる場合の良さもあるとは思いますけど、意思の疎通であったり、方向性を共有するという意味でも、社内で完結できるのは大きいのかなと。

安藤:入社当時はメンバーも足りていなかったので、お客様との間に何かトラブルがあるとPLが矢面に立つしかなかったんですけど、今はお客様のことをよく理解している営業担当がフォローしてくれるので、チームで仕事をする強さも感じます。 昔はチームメンバーにも残業や休日出勤で対応してもらったり、無理をしてもらうこともありましたけど今はそういうこともなくなって、会社組織として成長していっているという実感もありますね。

石原:エンジニアの残業が少ないのは、業務時間内に高いパフォーマンスで応えてもらえているというのはもちろんですし、残業をしなくても予定通り進んでいるということは、きちんとスケジュールを調整できているということなので、PLとしてはうれしい限りです。

最後になりますが、PLとして飛躍していくために大切なことは何でしょうか

安藤:失敗を認めて改善する、他人から学ぶ、ゴールから逆算できる、など色々な要素はあると思いますけど、プロジェクトの責任者となるわけですから、どんなに大変でも最後までやりきれる人じゃないとだめだと思います。

石原:PLといってもやり方は人それぞれで、お客様や案件によって変えなければいけないこともあるので、正解というのはないと思っています。 なので基本的にはそれぞれのスタイルでやればいいとは思うんですが、安藤さんが言ったこともそうですし、抑えておかなければいけないことをしっかり守るということを意識していくことでしょうか。

安藤:とにかく客観的にものを見て、目的と手段を履き違えないことが大事だと思います。そして何より、プロジェクトに関わる全てのことに対して興味と知識を持って、他人ごとではなく自分ごととして捉えることができる人であってほしいですし、自分自身もそうでありたいです。

石原 宗次郎 Sojiro Ishihara / 安藤 賢司 Kenji Ando