呼応するチームの力
──成長する現場でチャレンジを続けること
2020.4.14
デザイナー、エンジニアをはじめ、社内のプロフェッショナルたちがチームでプロジェクトに向き合うフェンリル。
様々な個性が集結する現場では、それぞれが刺激を受けながら成長し、つねに新たなチャレンジが続けられている。
プロフェッショナルに仕事を進める仲間として、ユーザーにハピネスを届けるために日々向き合っているデザイナーとエンジニアは、お互いの存在をどのように感じているのかー。
UIデザインの可能性を模索しながらキャリアを重ね、ディレクターとして歩み始めた田辺と、エンジニアとして自身で手を動かすことにこだわりながら、PLの業務にも携わる太田川の対談を通して、双方の関係性と、チームで仕事をする強みにフォーカスしていく。
次のステップへと進むために
これまでの経歴と、転職を考えたきっかけを教えてください
田辺:2社経験していて、1社目は携帯ゲームのプラットフォームを制作する部署がある会社、2社目は携帯ゲームとコンシューマーも手がけるゲーム会社でキャラクターデザインやアイテム、アイコンのデザインをしていました。
元々ゲームやアニメが好きだったので仕事としてもその方面を選んでいたんですけど、もっと業務の幅を広げたいと思うようになったことと、好きなことが必ずしも自分に合っている仕事ではないのかもしれないということも分かってきたタイミングで転職を考えはじめましたね。
太田川:私は新卒で入社した会社で、iOSとAndroidのアプリ開発をしていました。ほとんどの開発は社内で行われていて、バックエンドからスマホアプリまで開発していたのですが、だんだんとオフショア開発にシフトしていって、私の担当業務もいずれはそうなるという焦りが生まれました。オフショア開発が悪いというわけではなくて、ブリッジSEという立場だとエンジニアというよりはコミュニケーターとしての役割が強くて、その時はまだ自分で手を動かすエンジニアでいたいという想いがあったので、新しい環境でチャレンジしてみようと考えました。
新たなチャレンジの場としてフェンリルを選んだのはなぜですか?
太田川:当時、業務でXamarin(ザマリン)を使って開発していたのでXamarinのコミュニティによく参加していたんですけど、そこでフェンリルのエンジニアの方2名と知り合いました。それで色々と話をするなかで、「フェンリルは尖ったエンジニアがいておもしろそうだな」という風に感じて。ちょうど転職を考えていた時期でもあったので、フェンリルで働いてみたいなと思いました。
田辺:私は当初フェンリルのことは知らなくて、エージェントからの紹介で知ったんですけど、当時はUIに特化した求人の数が多くなかったこともあって、話を伺ってすぐに興味を持ちました。デザイナーがUIデザインに注力できる体制があるというところにも魅力を感じて、デザイナーとして次のステップに進めそうだと感じたのが決め手になったと思います。
入社後はどのような業務を担当されたのでしょうか
太田川:入社してすぐにわりと大変な案件にアサインされて、スケジュールがタイトだったのもあって残業が多かった記憶があります。その案件はかなり特殊な例ではあったんですけど、入社後1ヶ月後のフォロー面談のときに、人事の方から「入社してすぐでこんなに作業時間が多いのはこれまでなかった」ということを言われましたね。
田辺:私の場合、今までずっとゲーム系のデザインをしていたので右も左も分からないような状態で、iOSのHIGや、AndroidのMaterial Design Guidelinesを見て勉強しながら、まわりの人の仕事を手伝って知識をつけていったという感じですね。
太田川さんは、入社直後から大変な案件にアサインされたこともそうですけど、ずっと幅広い案件を担当されているイメージがあります。
太田川:そう言われるとそうかもしれないですね。元々はiOSとAndroidのアプリ開発が好きでしたが、それ以外の色々な業務もやってみたいと思っていたので、色んな仕事に手を挙げてきました。Windowsのアプリ開発をしたり、Xamarinのコンサルのようなことをしたり、間口は広くしているつもりです。
田辺さんはゲーム業界からの転職でしたけど、フェンリルのやり方というか文化にはすぐに馴染めましたか?
田辺:前職では分業で仕事をすることが多かったんですけど、フェンリルではチームで仕事をしたりお客様と対話をしながら仕事を進めていったり、デザイナーの領域が広いということもあって、最初は少し不安もありましたね。
ただ、フェンリルのデザイナーは、普通にアプリを使っているだけでは気がつかないような細かいことまで考えぬいていて、UIを意識して仕事をするということを身近で体感したことで、私自身も色んなことを自然と考えるようになりました。昔から「分かりにくいものを分かりやすくしたい」という気持ちがあったので、UIでそれを実現できるおもしろさを感じられたことで、思ったよりも早く馴染めたと思います。
刺激を受け合いながら成長していく
仕事をするうえで、お互いどんな印象を持っていますか?
太田川:田辺さんは一緒に仕事をするまでは、何でもかっちりと淡々に進めていくイメージだったんですけど、同じプロジェクトで仕事をしてみて、意外に「仕事人なんだな」と思いました。そのときの案件はけっこう画面数も多くて大変だったというのもあるんですけど、わりとフランクにその場でさっと対応していたり、とにかく手を動かしてスピード感のある仕事ができる人だなと。
田辺:その辺は、前職でゲームのデザインをしていたときに鍛えられたかもしれないですね。短時間でたくさんつくらなければいけない環境でしたし、過程よりも、完成しなければ意味がないと思ってしまうタイプなので。
太田川さんは、密に連携を取ってくれて、分からないことをそのままにせずに都度解決していってくれる人だなと思います。
太田川:仕事をするうえで、こだわりたい部分と、そこまでではない部分とがあって、私自身がこだわりたいのは、デザイナーの意図を読み取って自分なりに最善の結論を出すことなんです。そのためにも、密に連携を取って行き違いのないように意識して、優先度をつけながらこだわる部分に時間をかけたいと思っています。
田辺:なるほど。「そもそもこれは必要なのか」という議論になったときに、単純に作業量を減らしたいということではなく、その画面に込めた意味とか、デザイナーのこだわりの部分を尊重してくれることは感じていたので、すごく納得しました。
さきほど太田川さんが「仕事の間口を広くしておきたい」と言っていたことにも繋がりますけど、わりとフレキシブルな仕事の仕方をしている印象です。フェンリルの仕事の進め方とかルールから逸脱しない中で、自分のスタイルを貫いているというか。
太田川:私自身は、フェンリルのやり方に則って仕事をしているつもりなんですけど、周りからすると「自由にやってるな」という印象を持たれていると思います(笑)。
社内のコミュニケーションから学ぶことも多いのでしょうか
太田川:私は昔から、リスペクトできる人を見つけて目標にしながらやっていくというのがあるんですけど、フェンリルには色んな個性が集まっていてリスペクトできる人も多いので、吸収できることはたくさんあります。
最近でいうと、「できないものはできない」とはっきり言えるエンジニアの、仕事への姿勢が印象に残っていますね。自分のパフォーマンスを最大限に発揮してお客様や会社に貢献できるかというのを徹底していて、予算やスケジュールを大幅にオーバーすればいいものができるかもしれないけど、会社としてそれをするのかということを冷静に判断することも大切だと学びました。
田辺:目の前に課題があると何とかして解決したいと思うのはエンジニアやデザイナーの性だけど、お客様に求められることを無理してやってしまうことで、後々歪みが出る場合もありますしね。ビジネスとして取り組んでいるからには、どこかで線引きをすることも意識しないと。
フェンリルのデザイナーは勉強熱心な人が多くて、自分が得た情報やスキルを他の人にシェアするための勉強会が開催されたり、社内チャットでも日々色んな議論が交わされていて、お互いを高め合うという雰囲気が浸透していますね。
太田川:エンジニアの方でも、隔週で勉強会をしたりランチミーティングをしたりしています。課ごとにテーマを決めてみんなで話したり、必要に応じてみんなで話す感じですね。
あとは、各々がナレッジの投稿をすることで技術の共有もしています。単純に、みんなでスキルを高め合うという目的もありますが、フェンリルの評価制度としてエンジニア同士で評価し合うというのもあって、普段から自分が取り組んでいることを共有することで、自分をアピールするという意図もあります。仲間から評価されるのはモチベーションにも繋がっていると思います。
それぞれの仕事の進め方についてお聞きしたいのですが
太田川:デザインって、各々が好きなテイストがあると思うんですけど、案件ごとに目指す方向性が違っていますよね。個別で誰かに相談したり、客観的な意見を取り入れることもあるんですか?
田辺:デザインの方向性に関してはお客様と一緒に考えていくので、その人なりの色が出るということはあっても、テイストに偏りが生まれることはないと思います。ひとつのUIに対して「これどう思う?」というようなことを近くにいるデザイナーに聞いたり、プロジェクト全体のことは、デザイン部内で週に1回デザインレビューの機会が設けられているので、そこで意見をもらったりしています。
開発部の方は、コードレビューなどはどんな風にしているんですか?たとえば「この人にコードを見てほしい」という風に、誰かを指名して見てもらったりとか。
太田川:コードレビューに関しては基本的にチームごとに実施していますけど、個別に相談をすることもありますよ。特に新卒のエンジニアは、研修のときに見てもらっていた先輩にレビューを頼んだり。私の場合は、先輩というよりも新卒のエンジニアに見てもらうことが多いかもしれません。若いエンジニアは新しい技術の情報収集に長けていたり貪欲なパワーがあるので、レビューをしてもらうというよりは、意見をもらいながら一緒につくりたいという気持ちのほうが強いかもしれません。
田辺:先輩から頼られると後輩も自信に繋がっていいですね。逆に緊張もしそうですけど(笑)でも、そういう仕事のスタイルに太田川さんの人柄が出ている気がします。
太田川:それは、フェンリルのデザイナーでリスペクトしている方がいて、影響を受けたというのもありますね。その方は、先輩後輩関係なく何でも質問するし、聞かれたときには細かい部分まで丁寧に答えるというスタイルなんです。誰かに質問したことは全部メモに取って、しかもそれを覚えて吸収して、それをまた別の人に共有したり。そのスタイルを全て実践できるわけではないですけど、頼ったり頼られたりという関係性を築くことは、お互いすごくプラスになるんだなと感じています。その方に限らず、フェンリルの人たちはデザインや技術の話をしたり新しいものをつくることが好きな人ばかりなので、先輩だから後輩には聞けないとか、そういうプライドは必要ないと思えるようになりました。
田辺:たしかにその通りですね。デザイナーの間でも、一つの質問に対して一つの答えではなくて、「ちなみにこんな方法もあるよ」と、質問に踏み込んで返してくれたり。そういうことが普通にできる環境で仕事できるのは楽しいです。
可能性を広げる組織づくり
チームで仕事をする強みを感じるのはどんな場面でしょうか
田辺:デザイナーの方で色々と考えていても、動きの面などはエンジニアの方が知識が豊富なので、事前に相談をして決めていくことも多いんです。自分が考えていた案よりも、こっちの方が良いんじゃない?というアドバイスをもらえたりするので、すごくありがたいです。そういう行き来がある分、ご提案までに時間がかかる場合もあるんですけど、その分、社内での行き違いが少なくなって開発もスムーズに進むので、結果的には色んなリスクを回避できていると思います。
太田川:デザイナーがつくった画面に対して、エンジニアは技術的な面での色んな可能性とかリスクとか、先を考えて意見を言うという感じですね。たとえばボタンの画面ひとつにしても、タップの範囲はどこまでなのか、遷移後のページはどういう挙動をするのかとか。納期のことも考えて、もっと簡単につくれる方法を提案することもありますね。
田辺:話をするなかで、「たしかにそこは考えられていなかった」とか「そんな手法もあるのか」とか、たくさんの気づきがあります。同じプロジェクトに取り組むチームとして、最善を尽くせる方法を一緒に模索していけることは、良いものを提供するための大きな要因だと思います。
田辺:社内開発の良いところのひとつに、近い場所で仕事をしているからこそお互いを気遣って尊重できるというのもあると思います。たとえば私はエンジニアにカンプを渡すとき、できるだけ補足テキストを入れたり印をつけたりして、相手が読み取りやすいように配慮したり。そうすると向こうも丁寧なフィードバックをしてくれるので、結果的に良いものづくりに繋がっていると思います。
太田川:画面だけを見ると「これは必要ない」と感じることもあるんですけど、デザイナーのこだわりやユーザーのことを想って考えられたUIであることを感じ取ることができれば、それが意味のある画面だと判断することができます。細かいことでも疑問に思ったことを都度解消できれば、開発もスムーズに進みますね。
より強いチームにしていくために取り組みたいことがあれば教えてください
太田川:私の理想としては、属人化をしない組織づくりができればいいなと思っています。フェンリルで働く人たちは、それぞれ得意な分野やスキルを持っていて、お互いを補いながらプロフェッショナルな仕事をしていますが、一人一人のスキルの幅を広げることができれば、もっと成長していけると思うんです。極論を言えば、デザイナー、エンジニアという職種に囚われずに、デザインも開発もできる人たちが集まる組織になれば今よりもさらに強い組織になれるのかなと。プロセスがどうであれ、大切なことはフェンリルが提供するものがプロフェッショナルであるかどうかだと考えています。
田辺:全員がフェンリルのブランデイングをより深く考えられるという構図ですね。職種に限らずデザインと技術の両面を持つメンバーが集まっているので、将来的には実現することかもしれません。私自身も入社した頃に比べると、技術の知識が身に付いていると感じているので、フェンリルには色んな可能性があると思います。
太田川:そうですね。チーム全員が同等の知識やスキルを持っていれば、1人だけが対応できることがなくなるので、もしメンバーが抜けたとしても、新しい人に共有すればクオリティを守ることができます。たとえば、画面デザインでも細かい文言とかそれほど重要ではない部分を田辺さんが考えるのではなくてエンジニアの方で考えることができれば、田辺さんがデザインに割ける時間が増えてクオリティがあがると思うので。
田辺:時間を割かなくていい部分を簡略化して、より高いパフォーマンスが発揮できる働き方を模索していきたいですね。
あとは、社内で「この人と仕事がしたい」というのもあるんですけど、私はいまディレクターという立場で仕事をしているので、ディレクターとディレクターが同じ案件で仕事をするというのはあまりないんですよね。でも、そういう事情を抜きにして、社内でもっと活性化していけるような仕組みをつくれるといいなと思います。
太田川:どうしてもプロジェクトごとで動くことが多いので、全体を巻き込んで働きたいというのはありますね。これから5Gが浸透して新しいマーケットが広がっていくことを考えると、社内でもいろんな改革が必要ですし、フェンリルが先頭に立って業界を牽引していくパワーをつけていきたいです。
- Editing : Ai Takashima
- Photographs : Ikunori Moriwaki
- Location : 草月会館