Fenrir INSIGHT

信念を貫く
── 品質のプロフェッショナルと磨き上げるもの

2024.6.20

デザインと技術、プロフェッショナルな姿勢で信頼を積み重ねてきたフェンリル。本質を追求するクリエイティブに日々向き合っているメンバーたちは、部門が違っても常に同じ目的を共有している。

プロダクト開発の“最後の砦”とも呼ばれるフェンリルの品質管理部も、フェンリルのクリエイティブを支える大きな柱となっている。デザイナー、エンジニアと共にチームでプロジェクトを進めていく彼らは、どのような信念を持ち、高い品質を守り続けているのか。

品質管理部で現在50名を超えるメンバーを牽引している川崎、デザインディレクターとして活躍しながらマネジメントに携わりメンバーからの信頼も厚い宮地、アプリ開発のPMとしてキャリアを重ね現在は開発部門のマネジメントを務める浜本とともに、プロダクト開発における三者連携について語る。品質管理部の役割や存在価値を探り、三者の関わり方や開発エピソードを通して、フェンリルの部門を越えた関係性や、高い品質を保つ開発体制をひもとく。

強い組織へと導くために

はじめに、川崎さんが品質管理の仕事を選んだきっかけをお聞きしたいのですが

川崎:もともとは飲食業界で働いていましたが、違う分野で新しいことに挑戦したくなり転職を考えました。そんなとき、偶然目に留まったQAエンジニアの求人情報に惹かれたんです。「お客さまの満足度を上げる」と記された仕事内容に興味を持ち、IT業界は未経験でしたが挑戦しました。

フェンリルには、どのような経緯で入社されたのでしょうか

川崎:QAエンジニアに転身してからは、テストを専門的に取り扱うテストベンダーとして働いていました。しかし、テストベンダーの仕事は与えられた課題に対する品質を上げることなので、お客さまやユーザーにとっての真の品質向上にはならないのでは、と悩むようになって。考えた末、開発者やデザイナーと一緒に品質を追求できる職場を探し、フェンリルにたどり着きました。デザインと技術に強い信念を持つプロフェッショナル集団のフェンリルでなら、自分の「品質を追求する」というポリシーを貫けるのではないかと思い、転職しました。

入社後はどのような業務を担当されたのでしょうか

川崎:私が入社した直後に品質管理部が立ち上がり、前職で部長を務めていた私が部の組織形成・強化を任されました。それまでQAエンジニアは開発部に所属していたんですよ。
組織形成のために私がまず取り組んだのは、部のミッションを掲げ、QAエンジニアの責務とそれに対するキャパシティを分析すること。それから、開発部と精力的にコミュニケーションを取り、社内報や社内イベントで品質管理部の活動を周知するなど、私たちの存在価値をアピールしました。

社内での品質管理部門の役割に変化はありましたか?

川崎:そうですね。フェンリルの開発体制はもともとアプリ開発を主な目的として組まれていましたが、ウェブ開発にも力を入れるようになって、品質管理部の組織の規模を大きくするタイミングでもありました。教育にも尽力して、部の中でユニットを作ってリーダーを配置したり、新卒研修にも関わったり、いろいろ取り組みましたね。現在もメンバーのスキルや業務を管理しながら、デザイン部門、開発部門との連携をサポートし、品質管理部の体制を整備し続けています。

デザインと技術のフェンリルにおいて、品質管理部はどのような存在だと思いますか?

川崎:品質管理部はおよそ50名の組織で、東京本社と大阪本社に半数ずつ在籍しています。これほどの規模の組織を運用するには、フェンリルが品質管理部の存在意義を見いだしていないとできない。開発会社の組織に品質管理部門を設置している企業は少ないと思うので、これは品質の全てに責任を持つという、フェンリルの覚悟があってのことだと思います。
私たちの役割は、デザイナーやエンジニアの方々が作ってくれたものを、一番良い状態でクライアントやその先のユーザーに届けること。良い状態というのは単に不具合がないということではなく、QCDのバランスを整えて、サービスの品質を高めることだと考えています。

品質管理部の責任者として、日々どのようなことを心掛けていますか

川崎:まずは部門の責任者として、前職の社長に教わった「共歓」という言葉を大事にしています。この意味は、成長や成功を仲間と共に歓ぶこと。自分だけではなく、他のメンバーや組織全体が成長し、成功するにはどうすればいいかを常に自分に問いかけています。
それから品質管理部のメンバーには、品質管理のプロフェッショナルであることを念頭に置き、プライドを持って仕事するよう意識付けています。仮に開発エンジニアが不具合を軽視したり、適当にあしらったりすることがあったとしても、彼らと並列の立場で主張して最後まで向き合えるような指導を心掛けています。とはいえ、延々とテストと改善を繰り返すわけにもいきません。スケジュールに沿ったプロジェクトの進行管理も大切なので、各部門との連携を取って柔軟に対応する姿勢を大事にしています。

刺激し合う仲間として

同じプロジェクトを経験された、デザイン・開発・品質管理のメンバーに集まっていただきました

川崎:お客さまと共にサービスを作る共同開発プロジェクトに携わり、金融系サービスのアプリ開発に取り組んだメンバーですね。そのプロジェクトを通して、お二人や部門間の信頼関係を築けたと私は思っていますが、皆さんどうでしょうか。

宮地:はい、プライベートでもよく飲みに行く関係になりましたね。

浜本:大きなプロジェクトを成し遂げたので、戦友のような感覚ですね。

プロジェクトを通して、お互いどのような印象を持ちましたか?

川崎:デザイナー、エンジニアともに職人気質、いい意味で偏屈だと思います(笑)。
それぞれの分野でしか分からない言葉で話すのではなく、相手によって伝わる表現に変換して話をしてくれるので、雑談を含めて言語を理解するのにそれほど苦労することはありません。むしろ会話をするたびにすごく勉強になります。それと、フェンリルには興味を持った事柄に対しては貪欲に知見を積み重ねるデザイナーや開発エンジニアが多くいます。そのため、それぞれの部門に向けて、品質に関する深い話をさせてもらうシーンがあります。ここでも新しい視点や考え方のヒントをもらうことが多いですね。

宮地:品質管理部の皆さんには、プロダクトやサービスが世に出るときのクオリティを高く保つため、細かい観点でチェックしてもらっています。「日本製」という表現の捉え方と同じように、「フェンリル製」と聞くと「品質が高い」というイメージがあるとしたら、それは品質管理部のおかげだと思いますね。

浜本:品質管理部は、まさに防波堤のような存在です。前職の会社でもそうでしたが、開発部がテスト業務も担っている会社は多いと思います。でも、開発部隊がテストすると、開発者目線で想定している操作でのテストになりがちなんですよ。

宮地:分かります。案件の規模が大きくなったり難度が上がったりすると、クリエイター側のチェックではどうしても抜け落ちてしまうものもあります。ですが、そこを品質管理部にきちんとカバーしてもらうことで、品質が一定の水準に保たれていると思います。

浜本:フェンリルの品質管理部はプロダクトの仕様だけでなく、社内の動きを把握した上でユーザー目線のテストをしてくれます。私たちクリエイターに率直な指摘をくれて頼りになりますし、存在意義が大きい組織だと思います。

川崎:ありがとうございます! こうして、改めて評価してもらえるとうれしいですね。QAエンジニアの仕事は、不具合を見つけたりプロダクトの品質を良くしたりすることだけではなくて、プロジェクトの質や顧客満足度にも影響するものだと考えています。今後、何かで評価される際には、そういったところにも言及してもらえるよう、私を含め、部一同精進したいと思っています。

三者の信頼関係を築くために、取り組んでいることはありますか?

川崎:私は社内の交流イベントやクラブ活動を複数運営しています。部門を越えて人と交わり、気が合う仲間と一緒に働けたら、ワクワクして仕事のパフォーマンスが向上すると思うんですよね。フェンリルのメンバーにはワクワクしながら働いてほしいと思っていますし、私自身も楽しく仕事したいので意欲的に活動しています。

浜本:川崎さんの熱い想いはみんなで共有しています。私の場合は、案件を通して社内のメンバーと交流を深めることが多いですね。キックオフミーティングや振り返り会など、オフラインで集合するときに飲みに行きますよ。もし会話が足りていないと感じる人がいたら、とりあえず私からランチや飲み会に誘うようにしています。
部門間での取り組みでいうと、エンジニアとデザイナーが交流する社内イベントは、定期的に開催していますね。

川崎:部門ごとの交流というと、開発エンジニアとQAエンジニアが関わる機会は多くあります。でも、デザイナーとQAエンジニアは作業工程が離れているので、関わる機会が少なくどうしても距離を感じます。そこが社内コミュニケーションの課題ですかね。

宮地:確かに、デザイナーがQAエンジニアと関わる機会は少ないかもしれません。そういった関係からか、デザイナーはテストに関する知識や理解が足りていないと思います。

川崎:それは逆もしかりですよ。私はデザインに関する知識や理解が足りていないと感じます。勉強したいと思っていますが、まずは部門間の交流ということで社内で料理対決をやってみませんか。デザインセンターや開発センターでチームを構成して、同じ材料やレシピを基に、それぞれがどんな料理を作るかっていうのをやってみたいと思っていたんですよ。

宮地:いいですね、やりましょう! 僕は浜本さんと同じく、案件に携わるメンバーとのコミュニケーションを意識しています。キックオフや振り返りのタイミングで、営業メンバーと連携して食事会や飲み会を企画することが多いですね。それと、オンラインミーティングではなるべくカメラをオンにし顔を見て話すよう周囲に呼びかけていますし、自身も心掛けています。

どんなハードルも乗り越えられるチーム

開発フローにおける、品質管理部とそれぞれの部門との関わり方を教えてください

川崎:共同開発における業務フローでは、要件定義のフェーズ以外、提案時の見積りからずっと開発センターと一緒に業務に当たっています。
関わりを持つ手段はさまざまで、例えば、プロジェクトを開始するキックオフのタイミングでは、全員が一堂に会してコミュニケーションを取ります。プロジェクトの進行中はオフラインとオンラインの両方で、状況に合わせたツールを活用しています。

浜本:そうですね。品質管理部と開発センターはコミュニケーションを密に取っています。プロジェクトにもよりますが、品質管理部のメンバーには開発メンバーのデイリーミーティングに参加してもらっています。開発状況の把握とテストデータやテスト方法の認識合わせをするためです。拠点が離れているとオンラインでのコミュニケーションが多いですが、打ち合わせをするほどでもないちょっとした相談は、仮想オフィスツールのoViceでいつでも連絡し合えるようにしていますね。スケジュール調整が不要で、テキストコミュニケーションで生じる齟齬もないですから、オフライン環境みたいにスムーズなコミュニケーションを取ることができています。

川崎:デザインセンターとは、設計や実装のフェーズにおいてテスト設計をする際にやり取りが多く発生します。最近はデザインメンバーと品質管理部メンバーとの間で、デザインテストの役割分担を決めるフローを設けています。デザインテストというデザイン工程の一部を品質管理部が担うこともありますね。

宮地:デザインに関するテストのフィードバックをもらうことがあるため、品質管理部のメンバーは「品質管理をする人たち」というくくりではなく、プロダクトを作るチームメンバーとして捉えています。

これまでに、大きなトラブルを経験したことはありますか?

川崎:このメンバーが携わった金融系サービスのアプリ開発プロジェクトでトラブルを経験しました。フェンリルがクライアントにプロダクトを納品する前の結合テストで、本来あってはならない不具合が見つかったんです。金融系サービスという特性上、厳守しなければならないことも多く、原因の追究と再発防止策について、過去にないほど社内外で徹底的に議論しました。何度も打ち合わせをして、最後まで真摯に向き合ったことで無事にリリースに至り、クライアントの信頼回復を得られましたね。

宮地:品質管理部のメンバーのことはいつも頼りにしていますが、この時はいつも以上に心強く感じました。

川崎:本件に関しては、品質管理部の責任者としてクライアントと対面でお話ししました。資料を基に、テストに関する不具合や課題について細かくお伝えし、やり取りを重ねましたね。

浜本:もともと厳しいスケジュールでしたが、不具合が見つかりスケジュールを伸ばして強化テストを実施しました。川崎さんには、限られた期間でどんな強化テストをすべきかといった不具合分析から、クライアントへの説明、資料作成まで携わっていただいて、本当に感謝しています。三者連携で必ず成し遂げる! という覚悟を決めた後、みんながチーム一体となって奮闘しましたね。
ちなみに、私は前職で何度かフェンリルと協業していました。そのときは、リリース後の不具合報告がほとんどなく、フェンリル側がテストを徹底していたんだろうな、という印象でしたよ。

リモートをはじめ、多様な働き方を選択できるフェンリルでの三者連携について伺いたいのですが

川崎:メリットは、時間や場所に制約なくメンバーとコミュニケーションが取れるところ。デメリットは、偶発的なコミュニケーション量の減少です。
全社員がオフィスに出社していたころは、歩く先々でいろいろな人と偶発的に出会えましたし、業務で関わりがない人とも気軽にコミュニケーションを取れました。プロジェクト業務に関してはリモートワークが有効に働くシーンが多いと思いますが、日常のコミュニケーションからなる三者連携の強化という観点からは、対面コミュニケーションの方に軍配が上がるかなと思います。

宮地:僕も今の働き方のメリットは場所、時間の効率化が大きいのかなと思います。ただ、みんながリモートワークに慣れてしまった今、出社して会うには何か理由が必要だなと感じますね。そのため、強制ではないですが、最近は部門で出社推奨日を設けています。

浜本:三者連携に限った話ではないですが、オフラインとオンラインの環境が交じったコミュニケーションにやりづらさを感じるときがあります。オフラインなら全員オフライン、オンラインなら全員がオンラインであればいいな、と思うときがありませんか? 部門ごとに決められた出社推奨日はできるだけ出社して、出社とリモートとメリハリをつけた働き方を目指しています。

川崎:コロナ禍が明けてからは出社する人が増えて、社内で交流する機会が増えています。フェンリルのメンバーもどんどん増えているので、部門関係なく多くの人と関わりたいですね。

品質へとつながる、それぞれの信念

企画から開発、テストまで、全てフェンリルで完結することの意義は何でしょうか

川崎:ここは「品質」と答えたいですね。

宮地:そうですね。社内で全てを完結させるのは、デザインやエンジニアリングを含む、プロダクト全てに関わる「品質」に良い影響を及ぼすと思います。

川崎:ただ、三者が緊密に連携することでより良いものが生み出されるというよりは、三者が適切にお互いを指摘、牽制し合うことでそれぞれの信念が練り込まれつつ、バランスの取れたプロダクトが生み出されるのだと思います。この3名が携わったプロジェクトで、それを発揮できたのではないでしょうか。

浜本:例えば、トラブルが発生した後の立ち回りですかね?

川崎:はい、クライアントとの打ち合わせの前に私たちで社内会議をして、不具合をどう報告するかや誤解を招く表現になっていないかなどを確認しました。その上で三者そろって打ち合わせに臨んだことで、当日の打ち合わせの質が向上し、クライアントに満足していただけました。これは、フェンリルが開発当初から最後の工程まで携わったことによる成果だと思います。

宮地:コミュニケーションや作業がスムーズに進められるだけでなく、品質やプロダクト、ユーザーに向き合い続けられるのは、フェンリルの環境だからこそだと思いますね。社内のメンバーと本音で話すことが、最終的に品質につながると思います。浜本さんはどう思いますか?

浜本:そうですね。前職での経験で、複数の会社が絡むことで利害関係による問題が発生し、それによって本質がずれてしまい、みんなでゴールに向かって突き進めないことがありました。さらに、会社をまたぐことでコミュニケーションロスが発生することもあります。始めから最後までを、一つの会社が責任を持って作り上げるのは大切だと思いますね。みんな仲間ですから、意見の食い違いがあったとしても同志として同じ方向を向いて進めます。

さらなる品質向上のために、それぞれができることや今後の課題は何でしょうか

宮地:デザイン部門は、一貫性があるデザインを確立すること、デザインの意図をエンジニアにもしっかりと伝えることが重要だと思います。今後の課題は、クライアントに対して柔軟に対応することですね。私たちが携わったプロジェクトでは、クライアント側で段階を踏んだチェックポイントがあり、その都度資料を要求されました。そういった案件特有のルールや要望は今後も出てくると思うので、できるだけクライアントに寄り添って対応したいです。

浜本:開発部門の課題は、それぞれのスキルを磨くという当たり前のことに加え、今以上にコミュニケーションを密にして、個々の思い込みの実装を無くすことかと思います。社内での認識合わせを徹底し、気軽に質問できる環境を整備することが私の責任だと考えます。それから、デザイン部門と品質管理部門との連携をさらに強めたいです。

川崎:品質管理部の課題は、共同開発事業に対する影響度がまだまだ低いことです。ここ数年で品質管理部が開発の上流工程の各種レビューに参加するようになり、活動の幅は確実に広がっています。ですが、開発プロセスそのものの品質向上や、デザイナー・エンジニアを巻き込んだ具体的な品質向上活動については、試行錯誤しながら取り組んでいる段階で、具体的な効果は出せていません。
品質管理部が共同開発事業全体に良い影響を及ぼすことができるようになれば、品質のプロフェッショナルとして一つ上のステージに上がれると思います。ですから、自分たちのレベルアップに加え、他部門との連携をさらに強化したいと考えています。

浜本貴之 Takayuki Hamamoto / 川崎正博 Masahiro Kawasaki / 宮地祥太 Shota Miyachi